まったりとした日々

前回の記事の渓を随分と前に詩のように書いたものがあった（照

変わらぬ溪

残暑の厳しい中、一人でこの溪に来た。
谷間を吹き抜ける風は真夏のそれと違いどことなく涼しげだ。
ふと見上げると、抜けるような空はいつもより高く感じる。
そう、もう秋が近いことを教えてくれている。
溪を見ると、カワガラスがいつものように川の中に顔を突っ込んで
餌を啄んでいる。
小さな魚しか釣れないが、ここにくると何故かほっとする。
たまにしか来ないけど、いつも同じ流れで迎えてくれる。
慌てることはない。ちいさなフライをそっと流れに任せて流せばいい。
ちいさなパーマークが元気良く迎えてくれる。
その一匹を見て、「今年も居てくれたんだね。ありがとう」と
話し掛け、やさしく流れに戻す。

今日はこれで充分だ。
変わらぬ流れと変わらぬ魚がそこにあることに感謝しつつ
河原に座り、周りの木々を眺める。

もうすぐまた冬がくる。
来年もまたこの溪に立つだろう。秋空の晴れた日に。